第二回 中央委員会

9月10日(土)教育会館において「第二回中央委員会」を開催

木藤執行委員長あいさつ2011_0910中央委員会 挨拶

1)大震災と原発事故は政治のあり方を根本から問うもの

震災から6ヶ月が経過、多くの被災者がなお心身ともに苦しみのふちにあり、先の見えない不安なもとにおかれています。震災と原発事故は、今後長期にわたって正面からとりくみ、打開を図らなければならない、国政の最大課題となっています。

破壊された生活基盤回復のため、一人ひとりの被災者が自分の力で再出発できるように支援することこそ復興の最大の目的であり、そのための公的支援を行うことが国の責務です。政治のあり方が根本から問われています。

2)原発からの撤退を国民世論に

7月23日に開かれた「浜岡原発の永久停止・廃炉を求める静岡県大集会(ひまわり集会)」は近県からの参加を含め5000人がつどい大成功を収めま した。原発の縮小・廃止を求める声は国民の多数を占めています。「原発からの撤退」の一致点でのひろい共同を作り上げさらに世論を高めていくことが求めら れています。

3)野田新政権の誕生

民主党代表選で勝利した野田佳彦前財務大臣が新首相に指名され、新内閣が発足しました。新首相のこれまでの言動では

・消費税増税、10年代半ばまでに10%への引き上げ、来年3月までに法案提出

・法人税5%引き下げ法案の早期成立をめざす・TPP(環太平洋連携協定)推進

・停止中の原発については再稼働していかないといけない

・日米同盟をさらに深化させる、沖縄米軍基地は辺野古移設、新基地建設

など、私たちの願う政治の方向とは相いれない政治姿勢がうかがわれます。「自民党政治を終わりにする」という国民の審判と期待を裏切り続けてきた民 主党政権ですが、野田新政権でさらに、財界主導、アメリカ追随の「自民党政治」「構造改革路線」に回帰し、国民不在の「翼賛政治」がすすめられるのではな いかとの危惧を表明せざるをえません。

4)憲法改悪の策動と「日の丸・君が代」問題

5月18日参議院で改憲手続き法が強行され、改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の規定が採択されました。また改憲発議要件を「衆参両院の過半数に 緩和」することをめざす議員連盟が設立するなどの動きがあり、議員定数の削減に反対するたたかいと一体に改憲策動を許さないたたかいが重要です。

橋下大阪府知事が率いる「大阪維新の会」府議団は5月に「君が代」起立強制条例を強行成立させ、9月には、言いなりにならない教員や府職員を免職で きる「教育基本条例」「職員基本条例」を府議会と大阪、堺両市議会に提出する方針を明らかにしています。「基本条例案」は、同一職務命令を3回違反すれば 免職、職員を5段階評価し、全体の5%を最低評価、2年連続最低となった職員を免職、定数・組織の改編による免職―と首切りのオンパレードです。また府立 高校の全校長の公募、知事が教育委員を罷免できるなども盛り込まれています。露骨な教育への介入です。

このような横暴なやり方に府民の間に反発がひろがり、教育団体や労働組合・地域で反対運動が急速に盛り上がっています。幅広い共同と草の根からの反対運動をさらに広げていくことが求められています。

5)教育をめぐる動き

昨年4月から公立高校の授業料不徴収がスタートしました。11年度からは31年ぶりの学級編成の標準の見直しにより、小学校1年生の35人学級が実 現しました。全国教育署名の例年以上のとりくみで、教育予算増、少人数学級実現の世論を高め、動き始めた教育費無償化の流れをさらにすすめていくことが重 要になっています。

今年は7月から8月にかけて中学校教科書の採択が行われています。自由社版・育鵬社版の「歴史」「公民」教科書の採択をねらって「新しい教科書をつ くる会」「日本教育再生機構」などの動きが活発になっています。侵略戦争を美化し、憲法を敵視する自由社と育鵬社の教科書採択を許さないとりくみが求めら れています。

6)国家公務員の賃金引き下げをめぐる状況

政府は6月3日「給与臨時特例法」の国会提出を強行しましたが、国家公務員の賃金引き下げ法案については、公務員制度改革関連法案とともに、8月末までの通常国会では審議されていません。秋の臨時国会での審議入りをめざすものと考えられます。

地方への波及はその根拠がなく、片山前総務相も波及させないと発言していますが、波及をもとめる声は財務省などからも強く、予断は許されません。

7)臨時教職員をめぐる動き

職場では臨時教職員が多く配置され、青年層のなかには、正規より臨時教職員が多くなっています。障害児学校や定時制などでは特に割合が高く、学校種 別の格差が広がっています。「構造改革」により定数改善計画が6年間も放置された結果であり、定数崩しや総額裁量制をやめさせ、正規採用を増やすことが切 実な要求となっています。

8)労働基本権回復にむけて

労働基本権回復が現実化するなか、賃金確定から年末の人事異動のとりくみまで、「見える」組合活動をすすめることが重要になっています。各地区、分 会では、人事委員会、県教委との交渉、要請行動への参加、職場での署名、宣伝活動などに例年以上に積極的にとりくんでください。人事委員会勧告によらず、 高教組提出の要求書をもとに、教職員の切実な要求を実現するためには、組織の団結と大きさが求められます。11月に開催される「教育の集い」にすべての分 会員に参加を呼びかけ、未組合員を誘って参加しましょう。人事異動の取り組みには組合員の希望人事を実現させ、未組合員にも相談にのるなど働きかけましょ う。本部、執行部とも連携し、さまざまな場面で組織拡大をすすめるために、「見える」組合活動を展開してください。

本日の中央委員会ではぜひ活発な討議をしていただき、これからのとりくみ、活動へのスタートとしていただくようお願いして情勢をかねたあいさつといたします。

 

活発な討論

2011_0910討論

「就職できないから進学にと進路変更する高校生が増えている。定時制や通信制などの生徒の就職状況はさらに悪くなり、不安定雇用の温床となってい る。キャリア教育などと称し仕事に対する意識を問題にしているが、20年前に6割の不安定雇用層を作り出す政策を進めたのは政府と財界だろ。そうしちゃっ たくせに、若者のせいにして、若者をなんとかしろだと? 労働基準法や労働協約の結び方を教え、未払い賃金支払い申請のために労働基準監督署に行く方法を 教え、働くことの意味を考えさせなくちゃ。労働市場に裸のまま出すのではなく、労働者の権利を伝えておかなくては」

「公務員への労働基本権回復が秋の国会で実現しそうだ。非正規職員も労働組合に入れるし、団体交渉拒否は不当労働行為になる。問題は、管理運営事項を理由に交渉に応じない項目をいかに減らさせるか。学校長と締結する労働協約でどこまで要求できるか。」

「7時間目の終了が16時30分。掃除をやって帰りのHRをやっていると、勤務時間終了の16:45分があっという間に来てしまう。教育長交渉で話題にしたら教育長も びっくりしていた。調べて指導する、教育現場ではあってはならないことだと。」

「勤務時間なんか関係ないという感覚が広がっているのだろうか。土曜日の補習も広がっている。法令では土曜授業は禁じられているが、授業を行事化し て巧妙に実施しようとしている。命じられた勤務ならば、振り替えがきちんと取れなければいけないが、とれているか。土曜日に授業をやると通常の勤務が楽に なるという感覚もあるようだが、それは残業しないと仕事をこなせない、と同じこと。教師が過労死する方向に向かっている。ILOで提案され、支持されてい るディーセント・ワーク、働きがいのある人間らしい仕事、あらためて要求しなくては。」

「一人一台パソコンは使いづらいと評判が悪い。県がカネをケチったからだ。多忙化解消のために導入したのに、かえって仕事が増えている。県の説明不 足も原因だ。成績処理システムも改善の余地があるし、ファイルの共有はクラウドに、機器はレンタルにしてた方がよい。オープンオフィスに関しては、慣れた 人ならばあまり問題を感じないという。マイクロソフト社に支配されることの方が問題ではないか。要求を出すことが大切だ。」

「36名が発言する活発な討論ができた。土曜日授業、大学行くことの意味など根本的な教育の問題を問い直すきっかけになった。業務記録簿についても 時間外勤務は減っていない。15%削減すると教育長が言ったんだから具体策を要求したい。特休について、通院した証拠を出せなどという管理職がいるが、風 邪で家で寝ていたっていいはずだ。自宅研修に関する締め付けもある。学校でできることは学校でやれ、と自宅研修を認めない管理職もいる。定数内講師が増え ていることも問題だ。毎年の採用人数を少なくしておいて講師で補っている。授業料無償見直しの動きもある。さまざまな教育の課題解決のためには組合の活発 化、拡大が必要だ。」

最後に「団結してがんばろう!!」 2011_0910がんばろう

 

 

 

 

 

民主党に向けての

「高校無償化」の見直しに反対し、教育費無償化の拡充を求める要請書

新聞報道によれば、民主党、自民党、公明党の3党幹事長は、8月9日、国会内で会談し、民主党が2009年総選挙マニフェスト(政権公約)で掲げた 子ども手当、高速道路の無料化、高校授業料無償化、農業個別所得補制度について「見直し」などを約束する確認書を取り交わしました。私たちは、この「3党 合意」に盛り込まれた高校授業料無償化の見直し検討に強く抗議し、ただちに撤回することを求めます。

「あなたの学びを社会全体で支えます」との願いを込めて、2010年4月から始まった公立高校授業料の不徴収・私学高校等への就学支援金は、教育の 無償化という世界の流れにそった重要な一歩であり、「受益者負担主義」を基本としてきた日本の教育政策を転換させる可能性をひろげるものです。「確認書」 で明記された高校授業料の無償化の見直し検討は、教育費の保護者負担の軽減、教育の無償化にむけて動き始めた歴史の歯車を逆転させるものです。これは、日 本政府に対し、国際人権規約・社会権規約の教育費条項の留保撤回を求めている国際的な動向にも反するものです。

甚大な被害となった東日本大震災のもとで、子どもたちの教育を守り、充実させることは、日本社会の希望であり、その具体的な措置を後退させることは許されません。「高校無償化」見直しを撤回し、教育費の無償化措置の拡充に向けてご尽力いただくよう要請します。

1 「3党合意」を撤回し、公立高校授業料不徴収・私立高校等への就学支援金を継続すること。

2 教育費の負担軽減を図り、教育費の無償化措置の拡充に向けてご尽力いただくこと。

投稿日: | カテゴリー:トピックス, 原発廃炉, 平和, 教育文化, 生活権利 |