静岡高教組 第64回 定期大会

2012年2月25日に、静岡高教組 第64回定期大会を開催しました。

執行委員長あいさつ2012_0225定期大会 委員長あいさつ

昨年3月11日に発生した東日本大震災は、巨大地震と津波、福島第一原発事故によってきわめて深刻な大災害となりました。10か月が経過した時点で、行方不明者は3500人を越え、33万人近い人が避難生活を強いられています。甚大な被害に対する救援、被災地・被災者の願いにかなう復旧・復興支援は引き続き日本の政治、社会の重要課題になっています。

高教組新聞新年号一面に、新居高校につとめる、加藤優さんが「一本松の奇跡」とした被災地への思いをこめたイラスト作品を寄せてくれました。「きれいだね」「すごいね」など多くの反応がありました。すばらしい作品でした。加藤さんは作品に寄せて思いを述べてくれました。「声は紙面では届かないけれど絵でなら伝えられる。私は、今回、被災地で多くの人に希望と勇気を与えた奇跡の一本松を描くことにしました」と言い、「人々の絆が、本当の奇跡を生む。その奇跡が生み出す笑顔が、全ての人に届くことを願ってやみません」と結んでいます。国民の多くの人たちの被災地への思いを述べてくれました。

昨年は震災を境に、日本の状況は一変し、社会のあり方、政治のあり方が国民的な規模で問われた年でもありました。

「国民生活が第一」として政権交代を果たした民主党政権ですが、その期待と願いを裏切り、民主党政権下で3人目となる野田内閣は、自公政権がすすめた「構造改革」路線に回帰し、翼賛政治を進めようとしています。被災地・被災者の願いにかなう復旧復興の実現をめざすのか、震災を口実に消費税増税や財界大企業がもとめる復旧・復興施策など構造改革の道を進むのか、日本社会は今大きな岐路に立たされています。人々の絆によって笑顔を生み出すことができる社会こそ、被災者だけでなく、国民の願いです。政治はその願いに応えるものでなくてはならないはずです。再生と変革に向け国民の力、私たちの運動が試されています。

教育をめぐっても、ひきつづき困難な状況にあります。

新学習指導要領の本格実施に伴い、厚くなった教科書、ゆとりを奪う授業日数・時間の確保、学校行事の精選、進学競争のなかで7時間目、0時間目授業、土曜授業など生徒、教職員はますます追い立てられ、追い詰められていきます。

教職員の平均離職年齢は51.3歳。10年度、病気休職者は8660人、うち5407人が精神疾患とされています。背景には深刻な長時間過密勤務の実態があり、連年にわたる賃金削減による経済不安や仕事上のストレスによって教職員に精神的肉体的に深刻な事態をもたらしていることは明らかです。

教職員定数増、仕事の見直し・軽減、授業持ち時間数の軽減などを求める運動、労働安全衛生法にもとづく取り組みを広げ、長時間過密勤務の解消をめざすとともに管理体制強化に反対する運動をすすめることが重要になっています。

昨年12月に、本県監査委員会が、万引き事案にかかわって「校名公表」を行い、当該校の生徒、卒業生の人権を傷つけ、それまでの学校の生徒、教職員一体となった努力と成果を踏みにじる事態を引き起こしました。川勝知事も「公表」を容認する発言をし、これをきっかけとして、「教育行政も不可侵の領域ではない」などとして教育への介入をすすめる姿勢を示しています。大阪の橋下「維新の会」などの動きもあり、教育への権力的な介入を許さない取り組みが求められています。

監査委員会はその後1月中旬に文書回答を約束し、それに関して、代表委員も高教組と会うことも約束しましたが、現在まだ回答は届いていません。ひきつづき取り組んでいきます。

国家公務員給与削減法案に関して、これまでの経緯、たたかいはFAX通信、高教組新聞などでお知らせしてきましたが、一昨日23日、今年度人勧分0.23%引き下げ、来年度から2年間平均7.8%削減するとした「給与臨時特例法案」が議員立法として衆議院に提出され、即日委員会採決、本会議通過、参議院へ送付されました。人勧無視、憲法違反、国家公務員法違反、議員立法で即法案可決・削減強行などまさに暴挙です。全教も参加する公務労組連絡会のとりくみは連日おこなわれ、怒りの声が国会にぶつけられています。

また、地方への波及に関しても無関係でなく、2月16日におこなわれた県評の知事要請の回答では、財務課担当は「来年度県予算は7.8%カットを予算化していないし、交付税に関してもすでに盛り込み済み、カットは想定していない、知事も同様の考えだ」と回答しましたが、政治状況や財務省の姿勢、方針、また「2年の限定でいいのか」などの声もあり予断は許されません。今後の重要課題です。

次に定年延長問題ですが、現状までの制度設計の大枠はお知らせしてきましたが、ここに来て政府は再任用制度の拡充による制度構築を打ち出してきました。希望者全員を65歳まで再雇用することを義務づけるとしています。定年の延長と再任用では大きな違いがあります。県教委はこの問題では組合と十分話し合うと今年度確定闘争で明言しています。議論のなかで深めていただければと思います。

最後に組織の拡大、強化に関して、今年度の加入は目標には達しませんでしたが、20代30代の若い層の加入が目立ちました。全教の大会でも青年教職員の溌剌とした新鮮な発言があり、新採用者の組合加入は全教だけが伸ばしていると報告されました。青年教職員の思いや要求をくみ上げ、気軽に話しかけをし、組合の姿を知らせる取り組みをすすめていきたいと考えています。組合員1人1人が動けばその1割は加入するという「統計」もあると聞いています。4月、5月の加入が6割から7割という結果もあります。組織の拡大強化に関しても大いに語り、討議をお願いしたいと思います。

 

活発な討論 29人が発言

「臨時教職員が50人の職場。この時期になるとドキドキする。先日、校長に呼ばれて来年もお願いしますと言われてほっとした。しかし、ある未組の人は来年の任用がありませんと言われてがっくりしていた。一緒に活動している人なので、もっと強く組合に誘っておけばよかったと私自身が反省し後悔している。」

「組合は100人に声をかければ一人、共済は10人に一人が入ってくれる。今年は例年よりも多く、128人が加入した。ほんと?と思われるような数字だ。ひとつの学校で28人も一気に加入した。」

2012_0225定期大会 塚本発言「志榛地区の味な平和ゼミナールで拡大ができた。エバーグリーンで一緒に活動していた人だが、とうとう組合に加入してくれた。私にとっても初めての経験で、いわば拡大デビューだった。一人でやろうとしないで、たくさんの人とのつながりの中で実現することだと痛感した。勤務校の人に組合の話を聞いてもらったが、予想以上によく話を聞いてくれて手ごたえがあった。結果はすぐには出ないとは思うが、拡大にがんばりたい。」

「障害児学校の全国学習交流会に未組の若い人がたくさん参加してくれた。また来年も参加したい、組合の学習会にも誘ってくださいと言ってくれたし、他の職員にもすごくよかったと報告してくれた。それを聞いた人が、私も誘ってください、と広がっていった。いろいろな切り口で拡大に取り組みたい。」

「目に見える組合活動をすることが大事だ。私が若かったころは、組合が生活を守ってくれ、苦しみを代弁してくれていた。しかし組合員が減って、日ごろの活動もしない、アンケートも取らない、新聞も配らないでは、信頼してもらえない。組合員の怠慢だ。」

「私も分会員がたくさんいるところで活動してきた。半分が組合員になったこともある。拡大には信頼を得ることが大事だ。職員会議で、生徒の立場にたち、生徒を主権者に育てる誠実な教育の論理を語り、生徒を退学させず守ったこともある。組合員の教師の態度に触発されて富士山クリーン作戦に疑問を持つ生徒が前日にきれいにしてしまい、当日はやらなかったなどということもあった。

突然の異動の話に困惑した未組の人に組合として応援したこともある。加入すればとめられるかもと勧めたが自分でがんばると言う。結局止められなかったが、その人はその後、組合に加入してくれた。生徒の立場にたっている、自分たちの権利を守っているという教師の姿勢を示すことが大事だ。」

「7時間目が終わるのが4時10分。掃除、帰りの会が終わると4時35分。勤務時間終了は4時50分。さらに進学補習もしているので部活ができないと不満があがっている。勉強は大事だが、それが受験に向けた準備だけでよいのか。学校のめざすべき方向を議論する時間もない。土曜補講にしてしまったほうが楽という職員の声もある。学校のあり方を考え、事業仕分けする必要がある。」2012_0225定期大会 科技高発言

「修学旅行が三泊四日から二泊三日に、合同演劇教室も4時間分のために脱退した。授業時数確保の名の下に、一方的にやられている。有名大学に入れることが目的になり、人間としてどう育てるかが欠けてしまっている。」

「特別支援学校が超過密状態になっている。120~130人規模のところに150人近い生徒がいて廊下を仕切って教室にしたりしていた。PTAと地元育成会と組合で署名活動をして、新設が実現した。

普通科の中に分校ができるが、生徒同士の交流や協力関係に期待したい。」

「人事評価制度についてアンケートを実施した。集計結果を元に分会ニュースを作り、校長交渉も行った。 14人分の回答だが、反対の声が減り、どちらともいえないが増えている。『役立っていない』が減り、『賃金リンク反対』も減っている。管理職のソフト路線と慣れの問題か。」

「一人当たりのもち時数が増えている。16時間だったが、今年から18時間になった。勤務時間が7時間45分に減ったのだから、もち時数も減ってもよいのに。農業や工業では実習を含めると20時間やっている人もいる。歯止めが必要だ。」

「若い先生たちの給料は20万円そこそこだから、時給に換算すると800円くらいでしかない。学生アルバイト並みの賃金だが、若い先生方は意識していないのではないか。」

「原発反対の集会をあちらこちらでおこなっているが、教育として、学校のどこで教えるのかが抜けている。自衛隊機が水をかけにいったが、基準値を超えていたので戻ってきたということを話題にしたら、基準値はいくつなんて知らなくたっていいんだよ、と隣の先生が言った。外国人は逃げていったのに、知らないのは日本人だけなのかも知れない。放射能の恐ろしさをどこでどう教えるのか。組合としての方針が必要ではないか。」

2012_0225定期大会 粕谷発言 「安全だと言われればそう思い込む先生方もいる。疑う目を持っていない、対岸の火事のよう。チェルノブイリ事故のあと子どもたちの甲状腺がんが増加した。今後どんなことがおきるのかわからない、自分の身に起きたらどうか、深刻な問題として受け取る必要があるのに。多忙化も原因だ。若い教師が7時頃でもたくさん残っている。遅くまで残ることに抵抗のない若い人が多い。何を目指して生徒を育てるのか、話す場もない。学校としてどうするのか、生徒をどう育てたいのか、いろいろな意見があるとは思うが、対話が大事だ。」

2012_0225定期大会 がんばろう

投稿日: | カテゴリー:トピックス, 原発廃炉, 平和, 教育文化, 生活権利 |